みなさま、こんにちは!
司法書士事務所ともえみの井上です。
皆様、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?
久しぶりに実家に帰り、ご家族とゆっくりされた方も多いのではないでしょうか。
今回は、その「家族」にまつわるお話です。
最近、「シニアの婚活」が話題になっていること、ご存知でしょうか?
【人気の「シニア婚活」!】
中高年世代が、新たなパートナーを見つけるシニア婚活。
夫や妻に先立たれ一人暮らしとなった方が、老後を共に過ごせるパートナーを求め、
シニア婚活に取り組むことが多いようです。
また、子どもや孫と同居する世帯が少なくなった今、
離れて暮らす子どもにとっても、一人暮らしの親に支え合えるパートナーがいることは、
ひとつの安心に繋がります。
しかし、「シニア婚活」は楽しいことばかりではありません!
自分の子どもや、新たなパートナーのためにも、
決めておくことはきちんと決めておかないと、
あとあと大変なトラブルが発生してしまうかもしれません!
そんなトラブル事例をご紹介します!
【シニア婚活でめでたく再婚!3年後に他界した父…
パートナーの子どもと遺産争続!?】
Kさん(68才・男性)は、早くに妻を亡くしてからずっと一人暮らしでした。
さみしそうな父を見かねて、二人の息子はKさんにシニア婚活をすすめ、
幸い、良い人に巡り合いめでたく再婚しました。
お相手Hさん(63才・女性)も、夫を早くに亡くし一人暮らし。
東京の商社勤めで忙しい一人息子も、「大阪でひとりぼっちよりも、
母にパートナーがいる方がさみしくなくて安心だ」と、再婚を喜んでくれました。
結婚後、KさんとHさんは、Kさんの自宅(戸建)で暮らし始めました。
早くに夫を亡くし、女手一つで息子を東京の大学にまで出したHさんには、
目立った資産はなく、自然の成り行きでした。
静かで穏やかな二人暮らし、KさんもHさんも幸せそうでした。
ところが…!
再婚から3年後、Kさんは亡くなりました。
Kさんの遺産は、自宅(2,000万)と預金1,000万です。
KさんとHさんは、結婚式を挙げずに入籍だけしたため、
それぞれの子ども達は、Kさんの葬儀で初めて顔を合わせることになりました。
葬儀の席で、Kさんの息子たちは「遺産相続」をめぐり
Hさんの息子と揉め始めました。
Hさんの息子の主張はこうです。
「私は、東京での仕事が忙しく、大阪へ帰ることも母を引き取ることもできない。
母には苦労をかけたので、住み慣れた大阪でこれからも安定した生活をさせてやりたい。
妻であった母には、法定相続分である遺産の2分の1を受け取る権利があるはずだ。
Kさんの自宅を売却し、預金と合わせると遺産は全部で3,000万。
その半分の1,500万は、母のものだ。そのお金で母を施設に入れてやりたい。」
突然そんなことを言われたKさんの息子たちは、到底納得がいきません。
Hさんとの結婚には賛成したものの、父と3年しか一緒に住んでいないHさんに、
そんなにたくさんの遺産がいくのはおかしいと思いました。
また、実母の思い出のつまった実家を売るなんて考えられません。
それに、Kさん亡き後のHさんの面倒を見るのは、一人息子の責任ではないのでしょうか?
全てをKさんの遺産に頼ろうとする姿勢に、不信感も募ります。
Hさんと直接話し合おうにも、肝心のHさんは、子どもの言いなりです。
Hさんにつらくあたるつもりはないけれど、
Hさんの今後の面倒までみるのは納得がいかない…!!!
せっかく幸せな再婚をしたはずなのに…
親の再婚を子どもたちも祝福していたはずなのに…
【残されたパートナー、子ども達のために、遺産の分け方は決めておきましょう!】
このようなトラブルを防ぐために、できることはなかったのでしょうか。
◆ 遺言書を書いておきましょう!
シニア婚活に取り組む中高年の方々には、
既に独立している子どもがいる人が多いようです。
再婚をすると、子どもたちと、新たなパートナーが相続人となります。
もし自分に万が一のことがあったとき、遺産の分け方を決めていないと、
Kさん家族のように争いが勃発する可能性がかなり高くなります。
また、シニアの再婚の注意点として、どちらかが先立ったとき、
パートナーも相当高齢である可能性も考えておきましょう。
パートナーが認知症等であった場合、あまり接点のないそれぞれの子ども達が、
話し合いをすることになってしまい、争いが起きやすくなります。
自分の死後に無用な争いを生じさせないため、きちんと決めて形に残しておきましょう。
また、遺言書は夫婦どちらもが作成し、できるだけ公正証書遺言で残すことがおすすめです。
◆ 自分の死後のことを、家族と話し合っておきましょう!
遺言書の作成は、ご本人の意思ででき、家族に知らせる義務はありませんが、
パートナー、子どもたちのために、できれば内容等を話し合って伝えておくのがよいでしょう。
新しいパートナーも、子どもたちも、大切な家族です。
自分がいなくなったあと、大切な家族が困らないよう、
決めるべきことはしっかり決めて、楽しく明るい老後を過ごしたいですね!
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