高齢の親の代わりに実家マンションの管理をする良い方法は?
父はもうすぐ80歳になります。昨年母が他界してから実家のマンションで一人暮らしをしているのですが、最近物忘れがひどくなってきて、鍵をなくしたり、マンションの管理費を滞納したりしているようです。代わりになんとかしてあげたいのですが、良い方法はありませんか?
と、ご長男のB夫さんからご相談がありました。
このまま何もしなかったらどうなる?
もし、マンションの持ち主であるお父さんが認知症になってしまうと、たとえ家族であったとしても
- ・マンションの管理や修繕・契約をおこなうことができない
- ・固定資産税や管理費の支払いができない
- ・介護が必要になっても自宅が売却できない
という事態になってしまいます。
何もできないままマンションを放っておくと、資産価値もどんどん低下していくでしょう。
家族信託を用いた解決策
B夫さんは、実家マンションをお父さんの持ち物のままで、代わりに管理や売却がおこなえる家族信託の実家マンション管理・承継プランを締結することにしました。
委託者(財産を托す人) :お父さん
受託者(財産を託される人) :B夫さん(長男)
受益者(信託の利益を得る人):お父さん
信託財産(預ける財産) :①自宅マンション、②現金300万円
信託の目的 :①お父さんの安心な老後の生活の実現、②円満な相続
受託者の権限 :実家の管理、売却、売却代金の管理とお父さんの生活・介護・医療費の支払い
信託終了時 :お父さんが他界時
家族信託の結果
①お父さんの代わりにマンションの管理、修繕、リフォーム、鍵の取り替えができる
②管理費・固定資産税・マンション諸経費の支払いができる
③管理組合の会合へ出席し、意見を述べることができる
④マンションを売却して、親の療養・介護費用にあてることができる
(売却して得た代金は、B夫さんの個人資産とは「別口」で管理される)
⑤B夫さんはお父さんの資産を預かっているだけなので、贈与税はかからない
⑥親が他界した場合に、室内の片付けや処分がスムーズにできる
親が認知症になる前に「家族信託」で不動産の管理不能リスクに備えよう!
お父さんは、B夫さんと家族信託契約を締結することで、忘れてしまいがちなマンションの管理費や固定資産税の支払いをB夫さんが代わりにしてくれるため、安心して自宅に住むことができるようになりました。
またB夫さんが管理組合の会合への出席や、修繕等がスムーズにできるようになったことで、資産価値の低下も防ぐことができました。
親が認知症と診断されてしまうと、親の持ち物である不動産の管理はできなくなってしまいます。
実家マンションの管理のことでお困りの方、将来不動産の管理不能リスクが考えられるという方は、お気軽にご相談ください。