大変、お母さんが認知症!?安心な老後生活を実現するために今できる対策とは

「80代の母の物忘れが気になります。同じことを何度も聞いたり、約束の日を間違えたりすることも多くなっているようです。」

50代のA子さんは、実家で一人暮らしのお母さんが認知症かも・・・ と心配になっているようです。

TV等で、認知症になると資産が凍結されるということを耳にしたA子さんは、お母様の安心な老後の生活を実現するためのご相談に来られました。

ご家族の状況及び資産状況

1お父さんは亡くなられており、お母さんはご実家でお一人暮らし。

A子さんには長男であるお兄様がいらっしゃいますが、仕事の関係で遠方にお住まいのため、お母さんのことはA子さんに任せっきりです。

資産は、ご自宅と預貯金が約1,000万円です。

このまま何もしなかったらどうなる?

お母さんの認知症が進めば、資産が凍結してしまいます。

財産には「名義」があり、本人名義の財産は本人しか使えないのが原則だからです。

定期預金の解約や、株や投資信託の売却等は、本人の意思が確認できなければ銀行や証券会社は取引をしてくれません。

そのため、この先ご自宅を修繕・リフォームしたり、お一人暮らしが難しくなり、施設へ入所したりする際に必要なお金が、お母さんの預貯金から出せなくなってしまいます。

お母さん名義のご自宅も、売却の際には本人の意思確認が必要となるため、このまま何もしなければ売却も難しくなってくるでしょう。

家族信託を用いた解決策

お母さんが認知症になる前に、A子さんとお母さんで家族信託契約を締結することにしました。

これにより、お母さんの認知症になった後も、資産が凍結することなく、お母さんのために使うことができます。

また、A子さんは、お母さんの資産を預かっているだけなので、贈与税がかかることはありません。

 

家族信託契約の例

委託者(財産を托す人)   :お母さん

受託者(財産を託される人) :A子さん(長女)

受益者(信託の利益を得る人):お母さん

信託財産(預ける財産)   :①自宅、②預貯金1,000万円

信託の目的  :①お母さんの安心な老後の生活の実現、②円満な相続

受託者の権限 :お母さんの生活費の支払い、不動産の管理・修繕・賃貸・売却

信託終了時  :お母さんが他界時。残った財産があれば子ども達で平等に分ける  

 

家族信託の結果

①お母さんが元気なうちから、誰に何をどう託すのが決めることができる。

②お母さんが認知症になった後も、資産が凍結することなく、A子さんが契約内容にしたがって財産管理をすることができる。

③お母さんが施設へ入居して、実家が空き家になった場合、A子さんが実家を売却して介護費用に充てることができる。

④お母さんから信託された財産と、A子さんの個人財産は「分別して」管理ができるため、お母さんや他の兄弟への管理状況説明がしやすい。

⑤信託財産の信託終了時の扱いについても契約で定めておけるため、お母さんが他界した時に資産が凍結して葬儀費用が出せなくなることがない。

親の認知症が気になり始めたら「家族信託」を検討しよう

家族信託とは、親が子どもなどの信頼できる家族・親族に、不動産や預貯金などの財産の管理を任せる契約のことで、「民事信託」とも言われています。

家族信託を締結すると、親が決めた目的に沿って、子どもが信託された財産を管理・処分し、親のために使用することができます。

これまで、

・万が一親が認知症になってお金がおろせなくなったらどうしよう。。。

・私に介護の費用がはらえるのかしら。。。

・後見人を付けないといけなくなったらどうしよう、、、

などといった漠然とした不安を解消できる制度とも言えるでしょう。

親の認知症が気になり始めたら、早めに専門家へ相談することをオススメします。

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